GALLERY & PICTURE INFORMATION
ターナー風景版画
英国の田園や海岸の風景は、多くの芸術家に親しまれて来ました。風景や自然の見方は、時代によって少しずつ異なりました。自然は魔物が住む恐ろしいものとされた考え方が、18世紀にはピクチャレスク(絵のように美しい)という表現に変わり、絵画のように森や池、滝、廃墟などが配置された人が考えた理想的な風景が求められるようになっていきました。産業革命により裕福になった市民は、こうした風景画に関心を持ちました。やがて、合理化を進める近代への反発から起きた18世紀末〜19世紀のロマン主義思想は、あるがままの自然の中に精神性を見出そうとする自然観で、自分が発見したかけがえのない自然を保護して行く活動にまで広がって行きます。ターナー版画からは、自然の迫力と向き合う人々の様子を読み取ることができます。
- M.W.ターナー(J. M. W. Turner、1775-1851)
イギリスのロマン主義を代表する画家。ロンドン生まれ。風景画家トーマス・モルトンに1年基礎を学び、ロイヤル・アカデミー美術学校に入学、26歳で正会員に。初めはアカデミー好みの写実的な風景画を描いたが、やがて、大気・光・雲・波などを幻想的に描いた作品を製作。44歳で憧れのイタリアに旅行したのがきっかけで、ヨーロッパ各地に行き、風景画を描き続ける。500点以上の油絵、何千点もの水彩画、デッサン、スケッチを残す。
今回、T&M展示の版画16点は、全て、当時人気だったターナー原画を、19世紀の彫師が版画にしたものです。
植物と鳥の版画
写真がない時代には、木版、銅板、石版などの版画に、職人が一枚一枚彩色を施したり、色版を重ねたりして、手間をかけて緻密な図版が作成されてきました。18〜19世紀の西洋では、動植物の世界を詳細に知らせるための『博物画の世界』が花開きました。言葉では語りつくせない草花や鳥、昆虫、動物といった自然の生態を、こうした版画は魅力的に語ってくれます。
今回展示の作家
- グールド(John Gould、1804-81)
イギリスの鳥類学者、図鑑製作者。妻エリザベスやエドワード・リアなど絵師の協力を得て、大判の石版画を多数製作した。1851年ロンドン万博では100種余の蜂鳥の標本を展示した蜂鳥観を開催。
- J.L.オーデユボン
(John Jamaes Laforest Audubon、1785-1851)
アメリカの鳥類学者、フランスでJ.L.ダヴィッドに絵の手ほどきを受けた。1803年フィラデルフィアに渡り、アメリカ各地の鳥類観察から刊行した全500図を掲載した「アメリカの鳥類」が名著。
- カーチス(William Curtis、1746-1799)
イギリスの園芸家、出版家、博物画家。薬種商の孫として生まれ、薬草への関心から植物学を学び、医者になるためロンドンに出て大学の植物学研究室の助手を務める。後にプロンプトンに大植物園を開設。1787年「カーチス植物誌」を創刊。キューガーデンの正式な機関誌となる。有用植物の普及にも多くの貢献をした。